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by usamari
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THE FOG OF WAR  マクナマラ元国防長官の告白

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去年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞したこの作品。日本では六本木ヒルズのレイトショーでひっそりと公開されていました。こういう作品こそ、本当に見るべき映画だと思う。

ケネディ大統領と、ジョンソン大統領の下で国防長官を務めたロバート・S・マクナマラ氏の告白式ドキュメンタリー。ドキュメンタリーというと堅苦しい印象があるけど、この映画はほんっとにすごい。まったく飽きさせず、私たちの興味は尽きない。編集・映像の力もあるけど、第二次世界大戦で東京大空襲を実行したメイル少佐の部隊に在籍、フォードの社長を務め、国防長官としてキューバ危機、ベトナム戦争を指揮したマクナマラ氏の発言の数々がショックで、考えさせられる。この話が事実であることを忘れてしまうくらい、ドラマティックで残酷な戦争の真実。そんな大物が赤裸々に物事を語っているのにもびっくり。

彼の言うことはもっともだけど、結局は「戦争を止められなかった男」。ベトナム戦争時にはかなりの非難を浴びた。これが戦争を止めたなら、英雄として歴史に名を残しただろうけど彼は英雄ではなく「たまたまその時にその立場だった」凡人の1人だと思う。だからこそ、「凡人」が国防長官という権力がある地位でいる、ということが怖くなった。凡人でもバカでも、大統領や国防長官になれるという事実。今のアメリカもまさにそう。結構率直にアメリカ批判するマクナマラ氏。ブッシュ大統領とその側近達は、この映画を見たのだろうか??

この映画で使われている実際の昔の映像や肉声、特にケネディ大統領とマクナマラ氏の電話のやり取り等とても興味深い。あんな肉声のテープ、良く集めたなぁ。インタビュアー(監督)が出てこず、裏方に徹したのも、フォーカスがマクナマラ氏だけに当てられあちらこちらに話が飛ばず、良かった。

第一次世界大戦時に生まれ、20世紀の戦争を一番間近で見てきたであろう男の体験の数々は、とても貴重だ。どんな経験をしても、人間の本質は変わらない。理性だけでは戦争は回避できない。核戦争に至らなかったのはただ運が良かっただけ。戦争の「定義」「道義」によっては犠牲者数は減るだろう。でも、人間が人間でいる限り戦争は続く・・・・・戦争の本質は誰にもわからない。だからfog of warなのだ、と彼は言う。だけどこれからの明るい未来のために、二度と同じ過ちを犯さないように、後悔を込めつつ、彼は重い口を開いたのだと思う。最後、これ以上は語らないと言った彼の横顔が印象に残る。

戦争とは何か。何が許されて何が許されないのか。自分のしてきたことに誇りを持っていると言いながらも、常に自問自答している85歳の老人と同じく、私たちもまだ答えを見出せずにいる。

Story
ハーバード大学院卒、フォード社社長、ケネディとジョンソン政権下で国防長官、さらに世界銀行総裁を務め、現在85歳になったロバート・S・マクナマラ氏が、11の教訓とともに自らの体験を語り、キューバ・ミサイル危機やベトナム戦争の秘話を明かしていく。

監督:エロール・モリス
出演:ロバート・S・マクナマラ
2003年 アメリカ

フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白 オフィシャルサイト

2005.10.24  ★★★★★
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by usamari | 2005-10-25 00:44 | た/な/は行の映画