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by usamari
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ヒストリー・オブ・バイオレンス【A HISTORY OF VIOLENCE】

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※ネタバレアリです。未見の方は気をつけて!

昨年から観たかった、デヴィッド・クローネンバーグの最新作。いやー素晴らしいですね。前評判がかなり良かったので、ある程度安心して観ましたが、今回は、デヴィッド・クローネンバーグにしては間口が広い映画だと思う。内臓系のグロさもなく、悪趣味に倒錯する人々も出てこないし(笑)シンプルで、あっと驚くようなヴィジュアルや話はないけど私は好きです。元々、アメリカのコミックが原作らしいけど、原作よりだいぶソフトになりグロテスクなシーンは排除したそうです。

この映画は、ある一人の男の隠し持った暴力的な過去、それと対峙せざるを得ない家族の絆を描く。世間から忘れられたような静かな田舎町。冒頭の、淡々とした殺人シーンがなんとも印象的。大げさなものは何もなく、日常と殺人が当たり前のように混在する様子にゾクっとさせられる。暴力と正義の境目って、何だろう。もちろん人を傷つけちゃいけないし、暴力は嫌いだ。だけど、時にはそれを行使しないと自分の大事なものが守れない。自分や大切な人を守るための暴力もある。暴力では何も解決しない、暴力が暴力を生む。正論だけど、その後家族のため、自分の過去を清算するために次々と人を殺してしまう主人公・・・・それって?

静かで無表情なのに、苦悩や凄みを感じさせるヴィゴ・モーテンセンの演技は見事!やっぱいい役者だわ。時に野生的で、時に紳士的で、役柄になりきれる素晴らしい俳優です。深いところでキャラクターと同化しているように見える。そして、彼の妻役を演じたマリア・ベロ。愛していた人が隠し持っていた過去と向き合わなきゃいけない、もう彼を信じられず嫌いながらもやはりどこか惹かれてしまう・・・難しい役どころだけど、見事に演じていました。出番は少ないものの、エド・ハリスの存在感とウィリアム・ハートの怪演も楽しめました。

主人公トムの容赦ない暴力シーンがすごい。そのシーンになるとスピーディで力強く、それまでの静けさとの対比で映画にメリハリがつき、とてもうまい撮り方をしているなぁと思った。徐々に忍び寄ってくる自分の隠したい過去を暴く存在、守りたい家族が崩壊していく様子を淡々と描いているのに飽きさせない、そこはやっぱりクローネンバーグですね。彼の映画は「普通のもの」と「普通じゃないもの」の境界線がいつも曖昧で、何が起こるわけでもないのに全体的に不穏な空気を感じさせる。そして意図的かわからないけど笑えるシーンも満載。暴力=性欲という安易な結びつきにも見えるけど夫婦のSexシーンがとにかく笑えた。いい大人がチアガールのコスプレって・・・・クローネンバーグの趣味?(笑)

素晴らしいシーンがいくつもあり、考えさせられる映画でした。ラストは、何とでも解釈できるような曖昧な終わり方。ラストシーン、子供達に無言で夕食を用意され、疲れ切って哀れなヴィゴの表情と、諦めとも寛容とも受け止められる妻の表情が素晴らしかった。様々な感情を刺激され、見終わった後何を感じるかは観る人次第。私はそういう映画は大好きです。(まぁそういうのって、観客ほったらかしで終わりがグタグタの、雑な作りの映画もあるけどね・・・。)

きっと、どんな人間でも「暴力性」を持っていて、それは日常生活の中にも見え隠れしている。口では皆暴力は嫌いと言いながらも、結局、それは人間の本質だからいつどこで出てくるかわからないんだよなぁ・・・。なんて考えてしまった。

Story
インディアナ州の田舎町で小さなダイナーを経営するトム・ストールは、妻と2人の子どもとともに穏やかな日々を送っていた。そんなある夜、彼の店が拳銃を持った2人組の強盗に襲われる。しかしトムは驚くべき身のこなしで2人を一瞬にして倒してしまう。店の客や従業員の危機を救ったトムは一夜にしてヒーローとなる。それから数日後、片目をえぐられた曰くありげな男がダイナーに現われ、トムに親しげに話しかける。人違いだと否定するトムだったが、トムの過去を知るというその男は、以来執拗に家族につきまとい始める。

Note
監督:デヴィッド・クローネンバーグ 
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ 、エド・ハリス 、ウィリアム・ハート
2005年 アメリカ

ヒストリー・オブ・バイオレンス オフィシャルサイト

2006.3.4  ★★★★☆
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by usamari | 2006-03-04 19:12 | た/な/は行の映画