ブロークバック・マウンテン【BROKEBACK MOUNTAIN】
2006年 04月 03日
アカデミー監督賞受賞、アン・リー監督の「ゲイ・カウボーイ」映画。昨年の賞レースを総ナメ、前評判も良く早く見たかった本作。なんてったって・・・・私の大好きなジェイク・ギレンホールが出ているし!!
静かで、深くて、感動しました。雄大な自然が美しく、音楽も良かったです。現代のカウボーイってああいう感じなのね。季節労働者で、羊の世話が主。田舎で生まれた彼らは、やっぱりああいう山でしか生きられない人種なのかもしれない・・・・。寡黙で保守的なイニスに、無邪気なジャック。ひと夏の体験とはいえ、その出会いは人生をも翻弄する運命的な出会いだった。人が人を想うって、異性でも同性でも関係ないような気がする。恋愛というよりもっと純粋な「人間愛」というか・・・・。友情だって、愛情と似たようなもんじゃないかな?とはいえ、やっぱりゲイシーンは結構笑っちゃったけど・・・・(笑)なんか、ゴツゴツして痛そう(笑)でも不思議なことに、最初は違和感があっても、見ているとだんだん普通の恋人同士として見えてしまうから不思議。
人は皆、忘れられない強烈な体験があったり、隠して生きていかなきゃいけないことがあったり、色々なものを抱えて生きているんだと思う。この2人はそれがたまたまお互いの許されぬ恋心だっただけで、テーマとしては普遍的なものなんじゃないかなぁ。ただの興味本位で見たら、結構びっくりすると思う。愛することによって生じる、生きていくことのつらさ、諦めなきゃいけないことのせつなさ、全てを受け入れる強さ、そういう深いものが感じ取れる。
ジェイク・ギレンホール。いやー色気ありすぎでしょ!あの目!これからも個性的な役で大成して欲しいです。ほんとに役になりきっていて、しばらくゲイに見えてしまいそう・・・・。対する主人公ヒース・レジャーもうまかった!今までそんなに好きなタイプの役者さんじゃなかったけど、見る目が変わりました。やるじゃん。オージーの彼だけど、あのしゃべり方はアメリカ人カウボーイにしか見えなかった。発音がわかりづらくて大変だったけど・・・・。セリフでなく目や態度でお互いへの愛が伝わってきて、ぐっときました。2人とも、いい仕事したなぁ。
それぞれの妻役もとても共感ができ、アカデミーノミネートも納得。特にミシェル・ウィリアムズの、夫がゲイだとわかってからの演技は素晴らしかった。押し殺した感情からせつなさが伝わってきました。ミシェルは、キルステン・ダンストの「Dick」と、「16歳の合衆国」を見て、個性的で忘れられなかった女優さんです。この共演がきっかけで、ヒースと結婚したとか。アン・ハサウェイは顔が派手なだけに、ちょっと違和感があったけど南部の金持ち娘、って感じで良いのではないでしょうか。
初のアジア人アカデミー監督賞を受賞したアン・リー。人気のある「グリーン・ディスティニー」は好きじゃないけど、人間の本質を描ける監督だなぁと思っていました。「アイス・ストーム」でしびれました。こんな描き方ができるアジア人監督がいるんだ!って。おそるべし。
ただのゲイラブストーリーではなく、「純愛」を通して2人のカウボーイの人生を描き切った作品です。出合ってから20年、決して一緒にいることのできない相手。だからこそ、強く強く欲してしまう。ラスト、一番自分らしく生きれたブロークバック・マウンテンでの想い出を胸に、これからも一人静かに生きていく主人公。 人間って切ない。
Note
監督:アン・リー
出演: ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール 、ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ
2005年 アメリカ
Story
1963年、ワイオミング。ブロークバック・マウンテンの農牧場に季節労働者として雇われ、運命の出逢いを果たした2人の青年、イニスとジャック。彼らは山でキャンプをしながら羊の放牧の管理を任される。寡黙なイニスと天衣無縫なジャック。対照的な2人は大自然の中で一緒の時間を過ごすうちに深い友情を築いていく。そしていつしか2人の感情は、彼ら自身気づかぬうちに、友情を超えたものへと変わっていくのだったが…。
ブロークバック・マウンテン オフィシャルサイト
2006.3.27 ★★★★
by usamari
| 2006-04-03 15:28
| た/な/は行の映画