麦の穂をゆらす風 【THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY 】
2006年 11月 28日
今日は原宿のヘアサロンついでに、渋谷へフラフラ行ったので、ついでに映画観ちゃいました。今年のカンヌグランプリ、ケン・ローチ監督最新作です。しかし、シネ・アミューズ狭いよなぁ・・・いい映画ばっかりやってるのに、小さすぎ・・・
1920年。アイルランドのイギリスからの独立と、内戦を描いた作品。イギリス軍による弾圧がすさまじい。冒頭から、スポーツを楽しんでた主人公達に軍が銃をつきつけ、英語を話さない若者を処刑する。反乱軍を匿っていると思われる家には火をつける。拷問。最初はその戦いに疑問を持つ主人公も、不当な弾圧と情勢に耐えられなくなりリーダー的存在の兄と共に戦い、講和条約が締結される。が、その後条約反対派と賛成派の内戦で、兄弟が、大切な友人が、敵味方に分かれてしまう。
最初は、対イギリス軍でとてもわかりやすい。でも、内戦は何のために戦っているのかもわからない。隣同士、一緒に戦った者同士が敵味方に分かれ、兄弟でさえその犠牲になってしまう。南北戦争を描いたアン・リー監督「楽園をください」を思い出しました。
国の文化、アイデンティティ、土地、家族を守るため、友人を守るため、様々な理由があっても暴力は暴力しか生まず、復讐の連鎖は続き、それは世界各地で今でも続いている。他国との戦争の後は、必ずと言っていいほど内戦が起こり、同胞同士が殺しあうような悲劇を生む。
イギリス人のケン・ローチは緑深いアイルランドを舞台に、名もない人々の悲劇を丁寧に描いている。歴史は繰り返し、今イギリスがしていることにも警告を鳴らしているのではないかと思う。
ケン・ローチの映画を観ると、いつも「空気が乾いている」という印象を受ける。どんなにウェットで、ドラマティックな話であろうと、なんだかさらっとしていて、乾いた空気が漂う。なのに、忘れがたい程心に深くじーんときてしまうから不思議。。。。
北アイルランドでは、未だにイギリス領土があり、全島独立派とイギリス派に分かれている。イラクでも対アメリカではなく、内戦によるテロで沢山の犠牲者が出ている。南北に分かれた朝鮮半島、中国に属しない台湾、常に混乱している中東情勢。今でも、この映画と同じような事が起こっている事実。
心にずっしりと、重い映画でした。
NOTE
監督:ケン・ローチ
出演: キリアン・マーフィ ポードリック・ディレーニー リーアム・カニンガム オーラ・フィッツジェラルド
2006年 イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン
麦の穂をゆらす風 オフィシャルサイト
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2006.11.27 ★★★★★
by usamari
| 2006-11-28 00:25
| ま/や/ら/わ行の映画