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by usamari
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ドア・イン・ザ・フロア 【Door in the floor】

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不幸な事故によって息子達をなくした夫婦の、喪失の物語。

ジョン・アービングの原作らしく、さらっとした空気とユーモアに包まれながら、どうしようもない深い喪失感を描く秀作。たぶん、この夫婦は息子の死の前からすでに関係が終わっていたんだろう。ただ単に、その事故がきっかけになっただけ。

新しい場所、新しい幼い娘とやり直すフリをしていたけど、どうしても出来なかった妻。時に子供っぽく、妻にどう接していいかわからない夫。男と女の感じ方の違いかもしれないけど、本当にお互いを信じて、家族というものを求めているのならば、乗り越えられたはずの事ができない。乗り越えても、もう同じ方向を向いていなかった。

ひとつひとつのエピソードがとても良く出来ていて、印象に残る。
特に作家の夫の「この世には開けてはいけない床のドアがある。そんな世界に子供を産んでいいかどうか迷う母親と、産まれていいのかと悩む胎児」の象徴的な話が印象的。人生の中で、誰にでも、開けてはいけない扉がある。わかっていても、いつかは開けてしまうであろう扉。その向こう側には、その人にしかわからない悲劇がある。

浮気を繰り返す夫。夫の助手の、若い男の子と浮気してしまう妻。見て見ぬフリをしながら、家族は続けていけない。幼い子供を産んだことを後悔し、親権を放棄し去ってしまう母親。自分を守るためにはそれしかなかったんだろう。子はかすがいにならない。夫婦って、一体なんだろう。

やっぱりキム・ベイシンガーは素晴らしい女優だ。そこはかとなく漂う色気、女性らしさ、表情だけで見せる深い寂しさ。彼女が去った後も、彼女の存在感の大きさに驚く。無邪気で賢い子供を演じるのは、あのダコタ・ファニングの妹!!末恐ろしい姉妹だ・・・。

ジョン・アービングの作品は、共感できる話は少ないものの、表面的にはユーモアを装いながら時にハッとするようなセリフ、エピソードがあり、私のお気に入り。おそらく人生に対しての真実であろう言葉が、さらっと出てきて色々考えさせられる。

扉を開けたとき、一人の人間であることを悟る。そして、一人で生きていかねばならないことに気づき、誰のものでもない、「自分の」人生を再生する。

個人的にはサイダー・ハウス・ルールよりオススメの、大人の作品でした。

2007.7.10 ★★★★☆
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by usamari | 2007-07-11 00:22 | た/な/は行の映画