エレファント 【Elephant】
2005年 01月 10日
監督:ガス・ヴァン・サント
出演: ジョン・ロビンソン アレックス・フロスト エリック・デューレン イライアス・マッコネル
2003年 アメリカ
1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件を題材にした映画。マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」の逆を行くような演出で、かなり客観的な視点だ。
いつもと同じ朝、カフェテラス、部活、会話。学校がそこにあって、生徒は当たり前のように学校にいる。被害者ひとりひとりの物語があり、でも、その生徒たちの未来は一瞬にして消される。
この映画は加害者の少年達の「犯罪に及ぶ原因」などは一切触れず、「なぜ」の疑問には答えてくれない。加害者少年も同じような朝を迎えてるのだ。撮り方が丁寧で、普通ならカットするような「廊下をただ歩く」、「何気ない同級生とのやりとり」などをじっくり見せている。長回しが多くて、まるでドキュメンタリーを観ているかのようなリアルな映像。事件の起こるその時、ドラマティックで大げさな音楽なんかかからないし警察は踏み込んでこないし、大事じゃないように見える。が、実際私達が事件に遭遇したときもバックで音楽なんかかからないのだ。実際、こんなものじゃないかなぁ、と思う。だから、リアルでやりきれなかった。
この映画には主観がなく、誰もが被害者に、加害者になる可能性があるということを考えさせられた。テンポよくどんどん進む映画もいいけど、こういうじっくり考えさせられる「時間」をくれる映画って少ないと思う。
ガス・ヴァン・サント監督は若者を主役にするといい映画を撮りますね。
エレファント オフィシャルサイト
2005.1.10 ★★★★☆
by usamari
| 2005-01-10 21:29
| あ/か/さ行の映画