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by usamari
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ウィスキー【WHISKY】

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ウルグアイ映画日本初上陸!

前々から噂を聞いていたこの映画。なんでも、南米ウルグアイでは映画は60本くらいしか作られたことがなく、この映画が日本で初めてのウルグアイ映画なんだと。すごいね。

細々と靴下工場を営むハコボと、真面目さしかとりえのないような従業員マルタ。弟がブラジルから来ることになり、マルタに妻役を頼むハコボだが、それをきっかけにマルタの気持がどんどん変わっていく。化粧っけもなく、同じ事を淡々と繰り返す毎日。そんな毎日に、ハコボの「妻役」という非日常的な役割を与えられ、生き生きしていくマルタの様子が可愛い。頼んだのはいいものの、頑固なハコボは色々段取りをこなすマルタに圧倒されっぱなし。「偽りの夫婦を演じる」という非日常の中で、2人の縮まりそうで縮まらない距離がもどかしい。最後までかたくなに自分を変えないハコボ、そして工場に来ないマルタ。規則のように繰り返されていた毎日が、ここから変わり出す。観客に想像の余地を残すラストが良い。

この映画の雰囲気は、見る前からアキ・カウリスマキっぽいなぁと思った。セリフ、演出の少なさ、工場の雰囲気、淡々としたマルタの表情は「マッチ工場の少女」を思い出した。もちろんカウリスマキのほうが全然上だけど、ウルグアイの風景や普通の人々の話を初めて見たので興味深かった。説明好きなハリウッド映画を見慣れている人には少々退屈かもしれないが、見た直後より、後からじわじわと味の出てくる映画。

固定されたカメラに距離感と緊張感が生まれ、そこはかとない面白さをかもし出す。ちょっとした事柄に各キャラクターの個性が出て、大して盛り上がりもない話なのについつい見入ってしまう。

人生ってちょっとした勇気で変えられる。でもそれを選択するかどうかはその人次第。感想の分かれるラストだと思うけど、私は、マルタは太陽の光輝くブラジルへと旅立ったんじゃないかなと思う。ちなみに、「ウィスキー」とは写真を撮るときの掛け声。日本だと「はい、チーズ」にあたる。ウィスキーというときの彼らのぎこちない微笑みが、印象に残る。

Story
ウルグアイのとある町。父親から譲り受けた寂れた靴下工場を細々と経営する初老の男ハコボ。彼の工場には控えめで忠実な中年女性マルタも助手として働いている。長年一緒に仕事をしている2人だったが、必要最低限の会話以外とくに言葉を交わすことはなかった。そんなある日、疎遠となっていたハコボの弟エルマンが訪れてくることに。そこでハコボは弟が滞在する間だけ夫婦のフリをして欲しいとマルタに頼み込む。彼女は同意し、2人は早速準備に取り掛かるのだったが…。

NOTE
監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール
出演: アンドレス・パソス、ミレージャ・パスクアル、ホルヘ・ボラーニ
2004年 ウルグアイ/アルゼンチン/ドイツ/スペイン

ウィスキー オフィシャルサイト

2006.1  ★★★★
by usamari | 2006-01-28 20:53 | あ/か/さ行の映画