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by usamari
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イカとクジラ(仮題) 【THE SQUID AND THE WHALE】

イカとクジラ(仮題) 【THE SQUID AND THE WHALE】_b0033799_22291279.jpg


イカとクジラ。なんとも意味不明なこのタイトル。日本公開する頃にはタイトル変わってるかも。公開は今年10月頃らしいです。監督は、「ライフ・アクアティック」の脚本家、ノア・ボーンバッハ、主演はジェフ・ダニエルズとローラ・リニー。ということしか知らず、ストーリー等の詳細は知らなかったけど、なんとなく私のアンテナに引っかかりました。

N.Yはブルックリン、売れない作家の夫ベルナルドと作家の才能が出始めた妻ジョーン。作家夫婦の家庭に生まれたジェシーとフランク。突然両親の離婚を告げられ、日替わりでお互いの家に行く生活が始まる。監督の両親は実際に作家夫婦らしく、離婚をしているらしい。という、監督の半自伝的映画。「ライフ・アクアティック」でも父と息子、家族の絆をコミカルに描いていたけど、これもれっきとしたコメディだと思う。でも、コメディらしい要素を取り払ってとことんシンプルに、自伝的にしては客観的に描いている。ちょっとユーモラスでちょっと切ない。重くなりがちなテーマをテンポよく見せているので最後まで飽きない。

各キャラクターの描き方が深く、興味深い。本が売れず、エージェントもなく、妻を見下し、自分勝手で子供のようなベルナルド。息子のガールフレンドに対しても全然父親らしくない・・・。自分に才能があるのがわかり、見下していた夫に愛想をつかし教養もない年下の男に惹かれるジョーン。そんな両親を見て育ち、振り回される2人の子供・・・特に弟のフランクの行動はヤバい。でも、なんかククっと笑ってしまった。不良にもなれず、思春期の真っ只中、一番居て欲しい両親は自分勝手に好きなことをしてる・・・。兄ジェシーはどうにか折り合いをつけようとする。両親も男と女、欠点もある。昔母と見た、博物館のイカとクジラの大きな模型が怖かったジェシーはラスト、「もう大丈夫」という証のようにその模型を一人で見にいく・・・・。いわば、兄ジェシーの成長物語で、ジェシーに監督自身を投影させてるんだろうな。

ダメ男ジェフ・ダニエルズ、サイコウです。てか、息子のガールフレンドと3人でブルー・ベルベット見に行くか!?娘ほどの年の子に手を出したり、どうしようもないです。近所のリチャード、友人のお父さん、息子のテニスコーチにまで手を出すこれまたどうしようもない妻、ローラ・リニーのなんとも言えない表情はさすが。特にジェシーと対峙しているときの演技。この2人は完璧です。

意外とジェフ・ダニエルズと似てるジェシー役のジェシー・アイゼンバーグの繊細な演技も良いけど、なんといっても映画初出演、ケヴィン・クラインとフィーヴィー・ケイツの息子オーウェン・クライン君はすごいっ。初出演でこれか!顔も演技もかなり個性的で、このまま素直に育てば良い俳優になると思う。有望株です。そういえば、無教養と言われてしまったウィリアム・ボールドウィンのニヤニヤ顔、久々に見ました。プロテニスプレイヤー崩れ・・・ぴったりです。どうでもいいけど、アナ・パキンてセクシーなのかな??

何が起こるわけでもないんだけど、とにかく全体の構成、セリフが面白いし最後まで一気に見れる。ピンクフロイドの音楽がなんとも心地良い。

一見普通の家庭だけど、夫婦仲は冷め切っていたり、子供は親に秘密を持っていたり、一度何かが壊れると修復不可能まで陥ってしまう。家庭って、家族ってなんだろう。少なくとも、今日はママの日で明日はパパの日、今日はママの日じゃないから家に来ないでなんていうのは家庭じゃない。だけど、子供ってそんな親でも受け入れて、強く生きていかなきゃいけないんだよなぁ。もう、イカとクジラの格闘を見て泣いてた子供じゃないんだから。

Note
監督:ノア・ボーンバッハ 
出演:ジェフ・ダニエルズ、ローラ・リニー、ジェシー・アイゼンバーグ、オーウェン・クライン、ウィリアム・ボールドウィン、アナ・パキン
2005年 アメリカ

THE SQUID AND THE WHALE official site in English
※日本公開は今年の10月頃らしいです。

2006.4.9 ★★★★
by usamari | 2006-04-08 23:22 | あ/か/さ行の映画